スミマサノリ「月曜日にオジャマシマス」

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昨年の12月に椎間板ヘルニアで入院してから1年も経たないうちに再び悪化してしまい、現在入院しています。そのため、予定していたスミテレビはお休みさせてください。鳩山さんの「友愛」に迫る!という社会派ネタを考えていましたが、それは腰が良くなってから改めて。


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入院中、ずっとテレビを見ている。鳩山外交のニュースが多くて、鳩山夫人が歌う「さくらさくら」を何回も聞いた。さすがは元タカラジェンヌ、歌はうまいし英語もうまいし美人だし。でも、どうだろう? 国際舞台で活躍する鳩山夫人を見ていると、2時間サスペンスの登場人物にしか見えない。ファッションデザイナーあたりの役柄で、途中で殺されちゃう人。はっきりとした美人で年輩だとそういう感じになってしまうのだろうか。あるいは病院のベッドで見ているからかもしれないが、僕にはそう見えて仕方ない。

入院4日目くらいから車椅子に乗れるようになった。動けるようになってまず行ったのは、病院の喫煙室。これを機会に禁煙するという手もあるが、こういう時こそタバコを吸いたいという気持ちの方が勝ってしまった。僕の病室は3階で、喫煙室は1階の端っこにある。車椅子で動けるようになったとはいえ、中々厳しい道のりである。病室を出て、まずはエレベーターを目指す。手動式の車椅子なので両手で車輪を回す度に腰に痛みが走る。そんなに苦労してまでタバコを吸いたいのか? 自分でもバカだなぁとつくづく思う。

なんとかエレベーターまで到着すると、歩行器を押したおばさんがエレベーターの到着を待っていた。少ししてエレベーターが3階に到着、扉が開いた。歩行器のおばさんが先に入って「開く」ボタンを押したまま僕が中に入るのを待ってくれている。軽く会釈をしつつエレベーターの中まで入り、歩行器のおばさんとは背中合わせの体勢になった。1階に着いたらバックで出ようか、そんな風に思っていると、突然おばさんが声をかけてきた。

「エレベーターの中でも旋回出来るわよ」

お互い背中合わせのまま、背中越しにおばさんからのアドバイス。突然訪れたハードボイルドな状況に一瞬ひるみつつ、アドバイス通り車椅子を旋回させてみ た。するとおばさんの言う通り、エレベーターの中でちゃんと方向転換出来た。病院のエレベーターは車椅子が旋回出来るくらい広く作られているのだ。僕は歩 行器のおばさんの背中に向かって「ありがとうございました」とお礼を言った。

「私も車椅子を経てきたから」

おばさんは振り向かずにそう言って、歩行器を押しながら2階で降りていった。

格好良い!

とは思わなかったけど、僕も早く歩行器の段階にいきたいと強く思った。
ちなみに、歩行器の次は「杖」というステージが待っています。


(2009/9/28 住正徳)

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