スミマサノリ「月曜日にオジャマシマス」

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そろそろ寒さが本格的になってきた。もう、冬になってしまう。これからは熱いおしぼりが大活躍する季節である。寒い中を歩いた後にお店で出される熱いおしぼり。あれを顔に押し当ててゴシゴシしてからブハーっとする時の気持ち良さったらない。おしぼりで顔なんて拭いて!と、オヤジ臭い仕草に嫌悪感を覚える人もいるかもしれない。しかし、どうしてもやめられないのである。熱いおしぼりを前に、なり振り構っている場合ではないのだ。これからもどんどん顔を拭いて いこうと思っている。

そして思った。

あの熱いおしぼりがもっと大きかったら…、
顔なんて拭きたい放題だ。

例えばそう、バスタオルくらいのおしぼりとか。


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【バスタオル2枚重ね】

というわけで、早速ドン・キホーテーで白いバスタオルを買って来た。1枚だと巻いた時のボリュームが淋しい感じがしたので、2枚買った。1枚990円だ。

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バスタオル

このバスタオルを2枚、濡らす前に巻いておく事にした。ある程度おしぼりの形を作っておいてから熱湯をかける。その方が何かと扱い易いと考えたのだ。


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エッジを折り返しておいて

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バスタオルを巻いていく

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特大おしぼり(まだ熱くない)

これでおしぼりの用意は出来た訳だが、おしぼりにはおしぼり受けが必要だ。しかし、特大おしぼり用のおしぼり受けなんてものは売っていない。

一応、東急ハンズで聞いてみたが、もちろんなかった。

店員さんに相談したところ、自分で作るしかないのでは? と次のようなアドバイスをもらった。

・大きな発砲スチロールを削って作る
・竹を曲げて組み合わせてみる
・いずれにしても相当難しいと思う

発砲スチロールや竹をうまく扱える自信はない。どうしよう?

ふらっとハンズの木材売り場を見ていたら、あった。
あっさりとあったのだ。

特大おしぼり受けにちょうどいい木片が。

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特大おしぼり受け

特大おしぼり受け以外、他に使い道はないんじゃないかと思えるほど、今回の企画にうってつけの木片だ。先端が少し欠けてはいるが、それがかえってアーティスティックですらある。これで1500円である。

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特大おしぼりを置いて下さいと言わんばかりの窪み

発砲スチロールや竹で作らなくても、これだけの物を探す事が出来た。
東急ハンズ、さすがだ。

しかし、この特大おしぼり受けには1つだけ難点があった。

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手が汚れる

表面にススのようなものがこびりついていて、持つと手が汚れてしまうのだ。
おしぼりを置くためなのに、それを持つと手が汚れる。いじわるな昔話みたいだ。

濡れぞうきんで表面を何度も拭いた。

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ぞうきんで

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表面をキレイに

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こんなに汚れていた


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【熱湯を用意する】

特大おしぼりと特大おしぼり受けは揃った。
あとは、おしぼりを熱々にしないといけない。大量の熱湯の準備が必要だ。

事務所にある鍋全てを動員して、お湯を沸かす。

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事務所にある

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全部

鍋は全部で3つ。これで足りるだろうか?

心配になったので、念のためティファールでもお湯を沸かす事にした。

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ティファールも動員して

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お湯を沸かす

これだけの熱湯が用意出来れば大丈夫だろう。
先ほど巻いておいたおしぼりをシンクに入れて、お湯が沸くのを待つ。

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シンクに入り切らない特大おしぼり

お湯が沸くまでの間、約束をしていたお客様がやって来た。芸人のサワー沢口さんだ。サワーさんはバクストで大和田家のイラストを描いていたり、間違い探しの絵を描いていたりする。それらのバクスト仕事をこなすため、週に1回、うちの事務所に来てくれているのだ。

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お客様のサワー沢口さん

寒い中、わざわざやって来てくれたサワーさんのために、特大熱々おしぼりを用意する。

お湯もちょうど沸騰した。

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いざ

沸いたお湯をシンクの中のおしぼりにかけていく。鍋を持つと熱い湯気がムアッと顔に向かってくる。熱い。

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熱湯をおしぼりに

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かける

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沸いたお湯を全部かけた

お湯は鍋3つ分で充分だった。キッチンが熱気で包まれ、汗が出て来た。

特大おしぼりが熱湯に浸ったので、あとはこれを絞る。

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熱い!

ゴム手袋をしていても、もの凄く熱い。3秒以上握っていたら火傷しそうだ。

だが、ここで負けたらダメだ。熱さを我慢しないと、熱々の特大おしぼりをサワーさんに届ける事は出来ないのだ。

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本当に熱い!

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ぞうきんでエッジを掴んで絞る

ここまでの作業ですっかり汗だくになってしまった。
特大おしぼり作りは楽じゃない。

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絞り切った

汗を拭いながら、なんとか絞り切る事が出来た。

絞り切ったおしぼりを特大おしぼり受けの上に乗せて、形を整える。

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特大おしぼり受けに乗せて

よし、これで完成だ。
冷めてしまわないうちに、早く。

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特大おしぼりを

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いち早く

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サワーさんに!

待ってくれていたサワーさんの前に特大おしぼりと普通の茶を出した。
これが僕の最大級のおもてなしである。

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……

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とりあえずお茶を

サワーさんは今までにない歓迎ぶりに少し戸惑っているようだった。特大おしぼりには手をつけず、まずお茶をすすっている。特大おしぼりが嬉し過ぎて手を出せないのかもしれない。

いや、もしかしたら、これがおしぼりだって事に気付いてないんじゃないか?

「おしぼりですから、どうぞ」

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熱っ!

サワーさんがおしぼりを持ち上げると湯気が立った。まだ熱いらしい。

少し冷めるのを待ってから、手と顔を拭き始めるサワーさん。
僕のおもてなしを喜んでくれたようだった。

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ああ、極楽極楽


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事務所での打合せが終わってから、サワーさんと食事に行った。
席に通され出てきたおしぼりが…、

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あ、ちっちゃい

凄く小さく感じた。
これじゃ片手も拭けないんじゃないか。

と2人して思ってしまったが、僕たちはさっきの特大おしぼりで感覚がおかしくなっていたのだ。

これが本来の大きさである。


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「あ、この大きさですよ」

おしぼりはこれくらいの大きさがちょうどいい。
お店のおしぼりを使って、改めてそんな当たり前の事が分かりました。


(2008/11/17 住正徳)

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